【国宝】西本願寺唐門彩色工事
建造物装飾
国宝本願寺唐門は、日の暮れるのも忘れて見とれてしまうことから、「日暮門」とも称されます。
日光東照宮陽明門も技巧的かつ重厚な装飾から日暮門と呼ばれますが、本願寺唐門の装飾は力強く躍動的な彫刻に明るく華やかな彩色が魅力です。
唐門の建築年代については諸説ありますが、昭和54(1979)年の前回修理報告書では、「元和火災前、慶長遠忌にむけて整えられた御影堂門が、火災後に現在地へ移建され、大巾に彫刻類が新造をされて極彩色総漆塗の現在の姿ができた」と推定されています。
弊社設立者の川面稜一は、わずかに残る彩色塗膜を観察し、当時としては破格の117箇所に上る顔料分析を基に、唐門の彩色を復原しました。
それから約40年。
平成30(2018)年10月から令和3(2021)年3月までの約2年半をかけて、国宝本願寺阿弥陀堂ほか3棟保存修理工事(唐門彩色工事)として、川面美術研究所は唐門の彫刻修理と彩色塗り直しを担当いたしました。
川面稜一の仕事に触れ、そして追体験できる機会に恵まれたことは、弊社の技能者にとって貴重な経験となりました。
このたびの唐門彩色工事では、顔料分析や古写真・史料等の調査によって唐門彩色の変遷について新たな発見があり、その成果を施工に反映することができました(西本願寺公式Web 唐門修復情報 2021年8月1日「彩色工事Vol.2」https://www.hongwanji.kyoto/see/pdf/karamon_210801.pdf)。
また鶴彫刻の複製にあたり、3D計測データを活用して模刻をするなど、新しい技術も導入されました(2020年3月20日付『本願寺新報』 https://www.kawamo-art.com/news/344/)。
浄土真宗本願寺派様では、令和5(2023)年にお迎えする宗祖親鸞聖人御誕生850年と立教開宗800年慶讃法要のご修行を含む、平成27年度から令和6年度までの10年にわたる宗門総合振興計画の一環として、西本願寺阿弥陀堂・飛雲閣・唐門の修復をはじめ、境内を整備されております。
御参拝の折には、これらよみがえった国宝建造物も是非ご覧ください。
本願寺並びに京都府教育庁指導部文化財保護課の各位に厚く御礼申し上げます。